着実な成長を遂げているクラウド市場。その一方で、ベンチャー系企業のクラウド市場への参入は、苦戦を強いられています。クラウド系企業を選ぶ際の着目点や企業から求められるエンジニアのスキルについて紹介していきましょう。


クラウド市場は拡大するも、ベンチャーには淘汰の波が。

IT専門調査会社IDC Japanの発表によると、2013年における国内クラウドサービス向けITサービス市場規模は、前年比37.8%増の2024億円。2018年には3倍を超える6636億円に達するとされており、着実な成長を続けているといえます。ところが、ここ2年ほどの動きに着目してみると、業績不振によるクラウド関連企業の倒産が目立っています。なぜ、このような逆転現象が起こっているのでしょうか?Webサービスの導入支援やアドオン開発を行うシステムインテグレーター(Sier)の数は、クラウド関連サービスの普及に従い、2012年頃より急激に増加しています。いわゆる「IT起業バブル」ですが、中には10~20人規模のベンチャーも少なくありません。

しかし、企業体力や人材に余裕がないこれらベンチャー企業が、企業数の増加に伴う価格競争に巻き込まれたことで、「仕事はあるのに業績が悪化する」というスパイラルに陥りつつあります。 

■国内クラウドサービス関連ITサービス市場予測
SOURCE:IDC Japan,6/2014

順調な伸びを示すクラウド市場。
2018年にはさらに市場規模は3倍を超えると予想。


長く働ける企業を選ぶためのポイントとは。

ここで注目したいのが、企業の「稼働率」(utilization)と呼ばれる指標です。たとえば1日あたり8時間、エンジニアを客先に派遣して開発を行う契約であったのに関わらず、開発の遅延により10時間働くことになったと仮定しましょう。プロジェクトの予算が増額されない限り(ほとんどの場合は期待できません)、人件費の負担は1日あたり2時間分増加することとなります。

つまり金額ベースで見た場合、その企業の稼働率が、増えた労働時間の分だけ低下しているわけです。

■稼働率とコスト

稼働率が高い企業のほうが業績は安定する。

一般的な企業では90%以上の稼働率がありますが、厳しい競争にさらされているITベンチャーの中には70%以下という例が珍しくありません。こうなると、いくら現場では忙しくても会社としての業績が徐々に悪化してしまうため、ある日突如として倒産ということになるわけです。

では、多くのクラウド関連企業が淘汰されつつある現状において、エンジニアはどのような視点で転職先を選択すれば良いのでしょうか?

もっとも重要なのは、やはり長く働ける職場を探すことです。とはいえ、これは決して簡単なことではありません。よく知られた大手企業においても業績不振による大規模なリストラが実施されており、必ずしも大手だからといって安心できないのはご存じの通りです。

あくまで個人的な意見ですが、技術力の高さだけを売りにするのではなく、セールスフォース・ドットコムの「Sales Cloud」やVMwareの「VMware Infrastructure」など、特定のクラウドサービス/プロダクトに強みを持つ企業の方が経営的には安定しているという印象を受けます。長期的な視点に基づいた事業計画を有しているかどうかも、長く働ける企業を見分けるうえでのポイントといえるでしょう。


プログラミング技術に加え、マネジメント能力が求められる。

逆にクラウド関連企業の側では、どのような人材を求めているのでしょうか。前述のように、個々の企業は淘汰されていても市場全体では伸びていますから、エンジニアの採用枠は安定しています。

ただしここ最近ではシステム開発のスキルだけではなく、プロジェクトの設計開発から導入までのすべてを担当できる、コンサルタントやプロジェクトマネージャとしての能力を求める企業がほとんどです。特に、個々の社員の責任が大きくなる小規模な企業ほど、その傾向が強くなるといえます。

つまり転職にあたっては、これまでに参加してきたプロジェクトで、どれだけマネジメントやコンサルティングに寄与してきたかアピールすることが重要ということです。履歴書を書くときには、このことを意識してみてください。