大企業を中心にERPの導入はほぼ一巡したため、今後は保守・運用が中心となっていくと思われていましたが、近年は「グローバル対応」というキーワードと共に、SIerに寄せられるERP案件が増加傾向にあります。ここでは、その背景を紐解きつつ、そこから浮上してくる採用ニーズを考察していきましょう。


グローバル人材の確保が急務

グローバリゼーションとは、世界規模で政治・経済・文化の交流が行われることですが、ここ最近では日本国内の転職市場においても注目されるキーワードとなっています。独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が発表する「2013年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、今後海外需要の増加などを理由に輸出ビジネスの開始/拡大を検討する企業が6割を超えており、海外進出への意識の高さを表しているといえるでしょう。

そこで企業における大きな課題となっているのが、グローバルな人材の確保です。前出のアンケートによると、海外進出を行う企業の中には「親会社や取引先の海外進出に伴い海外進出が決まった」という事例も多く、体制が整わないまま進出を行わざるを得なくなったため、必要な人材が確保できていないという例も少なくありません。

企業の海外進出方針
(2013年度調査、JETRO)

大企業では73.3%が海外進出の拡大を図ると回答、中小企業でも60.0%が同様に回答している。


エンジニアにも語学力が求められる時代

IT業界においては、国内需要の減少も海外進出の大きな要因となっています。バブル崩壊後、産業の空洞化により痛手を受けた企業の多くは、経営の意思決定のスピード化を図りERPなど全社的なシステム導入による経営効率化に踏み切りました。ところがITバブルの崩壊した2003年以降は国内におけるシステム導入の伸びしろがなくなったことから、多くのSIerではこれまで国内で蓄積したノウハウを、中国などをアジアに進出する企業へ水平展開しようとする流れがあります。

現に、大手SIerではグローバルな案件が増加しており、新卒採用だけでなく中途採用においても、海外に目を向けた人員増強を開始しているのが現状です。そのため従来、エンジニアの転職にあたっては、いかにすぐれた技術力を持っているかが問われてきましたが、いまや「ITの技術」、「特定の業界における業務知識」、「語学力」の3つがいずれも必須となっています。

ある大手SIerに紹介した人材の方が、業務に精通しており高い実力を備えているのに関わらず、語学ができないがために採用を断られたという事例がありました。「今後は長期的な戦略を考えて海外で通用する人を採用したい、現状で戦力になるとしても、国内市場でしか活躍できない人には興味がない」というのが、正直なところでしょう。

また技術的な知識有無に関しては、むしろオフショア開発が一般化したことにより、以前ほど重視されなくなってきた傾向も感じられます。これからのエンジニアとしての付加価値は、いかに海外とやり取りするコミュニケーション能力があるかどうかと、クライアント企業の業務知識に集約されることは間違いないでしょう。

エンジニアの転職時に求められる能力

IT技術もグローバルで利用されている標準技術やパッケージに精通していることなども、転職にあたっては大きなアドバンテージとなる。


グローバルな活躍を目指すなら外資系よりも日系?

なお、国内の市場の飽和に危機感を抱いている日系のSIerやコンサルティング会社が積極的に海外進出を図っていることと比較して、外資系の日本法人ではグローバル展開にあまり積極的ではありません。外資系企業の目的は、日本におけるマーケット拡大なのですから当然といえば当然ですが、すでに飽和している国内市場において、規模の縮小や撤退といったケースも十分に考えられます。

転職にあたっては、グローバリゼーションにおける将来性を見据えながら、どのようなキャリアパスを選択し、スキルを身につければ良いのか、いまいちど考えてみると良いでしょう。