オンラインゲームの先駆者、宮本氏が語る革新し続ける組織のあり方と優秀人材に求められるスキル以外の要素とは!?

今回は時代と共に大きく変化するゲーム業界の中で、いち早く先見の明を持ち、日本で初めてPCオンラインカードゲーム事業を立ち上げたコアエッジ代表取締役・CEOの宮本貴志さんを訪ねました。革新的な組織であり続けるための秘訣と、それを構成するのに不可欠な人材についてお話を伺いました。

(株)コアエッジ代表取締役CEO 宮本貴志さん

革新の肝はサービス

「ゲーム会社と言うよりは、ゲームを使ったサービス業。」
宮本さんは、自身の会社をこう紹介してくださいました。オンラインゲーム会社として成功してきた会社を「サービス業」と表現するのはどういった真意が込められているのでしょうか。
それについて、次のように説明をしてくださいました。

「公園にある滑り台をゲームのソフトウェアやハードウェアとしましょう。ゲーム会社はいかにすごい滑り台を作れるかだと皆さん考えがちです。しかしながら、実際は、滑り台の楽しみ方を提供することこそがゲーム会社の肝といえるのです。」

ゲーム会社と言えば、より面白い遊具(ゲーム)そのものに注意を向けがちですが、コアエッジは、 それだけではなく、バラエティに富んだ「遊具の楽しみ方」と合わせて提供することで、ユーザーの期待に応えることができる真のサービスが生まれると考えています。顧客が満足するゲームの総合サービスを提供することができて初めて、ビジネスとして成立するのです。

ゲーム業界に入る以前、大手食料品商社での就業経験がある宮本さんは、この時の「サービス業」ならではの顧客目線に立った考え方が、今なお、自身のオンラインゲームに対する考えの基礎となっていると考えています。宮本さんは、日本初のオンラインカードゲーム製作での成功につながった要因とも言えるその考え方を次のように述べました。

「入り口が整然としていなかったり、混雑しているお店にはわざわざ入って買い物しようなんて思わないですよね。オンラインゲームも一緒です。我々は、オンライン上のお店を構え、きれいで入ってみたくなくような入り口を用意し、まずはそこに入ってもらい、工夫を凝らして陳列されたゲームという商品を楽しんでもらう。そして、大いに喜んで楽しんでもらえるようであれば、きっとそのゲームにお金を払っても良いとお客さんは考えてくれる。顧客の満足度が最終的には結果として収益につながるんです。」

従業員の「企画力」

オンラインカードゲームの先駆者として躍進続けるコアエッジ。
それでは、この躍進を支える能力とはどういったものなのでしょうか。

「企画力なくして、この会社はないんです。」
宮本さんは、本インタビュー中に「企画力」という言葉を何度も口にし、それの重要性ついて先の滑り台の例を用いて、具体的に説明してくれました。
「無料の滑り台だってただ単に、滑るだけではつまらない。より面白く遊ぶためにはどうしたらいいのか?そこで我々が “逆さすべり大会”みたいなものを企画し、人を集める。3回優勝したら、あめをあげるとか、あるいは掲示板に名前を大きく載せてあげるとか。ゲームに集まってくる人たちのゲームをする動機を考え、ゲーム=「滑り台を使った遊び方」を企画し、滑り台の楽しみ方を最大限に引き出す。企画力がものを言う、これが我々プロの仕事です。」

さらにオンラインゲームという動きの速い業界の特性を交えて語ってくれました。
「デバイス・インフラは今後もどんどん変わるので、なにがどう変わってもいいように、社員の脳みそを企画ができるようにしていきたい。企画ができれば、デバイスが変わったとしても柔軟に、そして十分に対応できる。」

特定のタイプのゲームしか作れないゲーム製作者は、デバイス・インフラ等が大きく変わったときに対応できません。しかし、企画力のあるゲーム製作者であれば、いかなるデバイスのゲームにおいても、ユーザーの目線に立ち、“遊び方”を考え提供し続けることができます。企画力とはデバイスに関係なく普遍的なもので、いわば動きの早い業界で生き抜き、勝ち続けるための必須能力ともいえるのです。

従業員が伸び伸びと自分のペースで働けるように。

社員が企画力を育み、そして、のびのびと働くことができるように、コアエッジでは多くの工夫をしています。
企画力を養うために、社訓に関するディスカッションや、営業と開発の間でのコミュニケーションを積極的に行い、日ごろから頭の柔軟さを養うよう心がけています。
また、社外研修では、ドラッグストアにみんなで行き、マーケットがどのように変化してきているのか考察するなど、ユニークなものも行っています。

「虫よけスプレーはかつて“効き目”をキャッチコピーにしていて、もちろん効き目がいいものが売れていた。しかし、効き目がいい分、当然肌にきつい。そこで、“お肌にやさしい”ということをキャッチコピーにし、そこに顧客のニーズを惹き付ける様にした。潜在ニーズを読み、それによって新たな価値観を提案し、ニーズを引き出して、最終的に購買につなげる。これが企画力です。今や、虫よけスプレーにも関わらず、虫をよける性能が強いものよりも、肌にやさしいものが人気です。」

このようにゲームとはかけ離れたように見えることについても真剣に考察することが、企画力につながると宮本さんは話します。

さらに、コアエッジの社員は自身の好きな時間を申請しさえすればどのような時間に働いてもよく、自由に働くことを許容されています。オフィスの端にあるリラックススペースは、漫画やゴルフの本を読むなど、これもまた自由に利用することができます。

各社員の企画力を養い、開放するために、このような真剣かつ柔軟な社内の雰囲気を宮本さんは意図して作っています。

<プロフィール>

宮本貴志=72年東京都生まれ。大手食品商社入社後、デジキューブ、ソフトバンクBBを経て05年にデックスエンタテインメント入社。

初の国産PCオンラインカードゲームの立上げ事業統括を担当。
08年4月からGPコアエッジ社長に。11年事業統合とともにゲームポット取締役。

2012年株式会社コアエッジ代表取締役CEOに就任。