自動車産業は「モノづくり立国、日本」を代表する主要産業であり、自動車産業が風邪を引けば、日本の経済全体に波及するほど、その影響は計り知れない。自動車産業はこれからも日本のエンジニアリングを牽引するフラッグシップとして世界で戦えるのか?そのためには何が必要なのか?

リーマン・ショック以降、日本の自動車産業の歩みを振り返りつつ、世界的に見た「Japanブランド」の今の立ち位置を、『ベストカー』など専門誌で活躍するフリージャーナリストの永田恵一氏に寄稿していただきました。


グローバルマーケットで世界を牽引していくために

グローバルマーケットで世界を牽引していくために日本の自動車業界は何をすべきか?
このテーマに関しての答えは非常にシンプルで「新しいもの、既存のもの問わず技術を磨き続けること」だ。

日本車が「とにかく安いクルマを」という路線を進むとしたら、日本は労働コストが高いという不利がありながらも日本車の生産コストがかなり抑えられているのは事実だ。しかし、そうは言っても価格の安さだけで言えば労働コストが安いアジア諸国や新興国に見劣りする。ならば、日本の自動車業界は「技術面も含み、魅力的な車を価値に見合った常識的な、多くの人が買える範囲で作る」という道を進むべきだろう。

具体的な例を挙げながら言い換えれば、速さと低燃費をディーゼルエンジンの搭載で実現したマツダ車や、楽しそうな雰囲気が理由で人気になっているスズキのハスラーのようにユーザーに「ローンを組んででも欲しい!」と思わせる車を作ることが必要だ。

もう1つ挙げるなら、車に限らず日本人は「外国で生まれたものをアレンジして進化させる」ということが得意で、それはそれで素晴らしいのだが、逆に考えればオリジナリティに欠けるとも言える。それだけに日本の自動車業界は「日本が発祥の○○」といったものを増やすことも重要だろう。


将来の一般動向

将来的な自動車の需要は新興国の台頭などにより世界中で「車を買える人」が増えるに違いない。日本市場は少子化や人口の現状により需要拡大は期待薄だが、世界的に見れば当面需要は拡大する方向で自動車業界は安泰に近い業界と言える。

だが、どの業界にも言えることだが好調な決算だけを見て過信や慢心を持つことだけは禁物だ。だから世界情勢や国内、海外メーカーの動向に敏感なアンテナを貼り、常に危機感と向上心を持つことが必要だ。

最後に自動車業界への就職を考えている人には「とにかく車を好きであって欲しい」とお願いしたい。仕事柄自動車メーカーの話すことは多いが、自動車メーカーに勤務している人でも「車が好きなんだろうな」と感じる人は意外に少ないのだ。

当然人それぞれ能力に違いはあると思うが、「好きなことだったから何とかなった、アイデアが浮かんだ」ということがあるのは自動車業界も同じだと思う。「とにかく車が好き」という人材こそがこれからの自動車業界を担っていくキーパーソンのではないだろうか。