自動車メーカーの好調を受け、求人数も上昇

日本自動車工業会の発表によると、2013年度における四輪車の国内総需要は前年度比で100.1%。また世界経済の回復を背景とした輸出増にも支えられ、各社が増収増益を達成するなど、自動車業界の好調が目立った年となりました。

それに伴い、転職市場においても他業界に先駆けて求人数が上昇に転じるなど、チャンスが広がりつつあります。なかでも注目したいのが、「Tier1」(一次請け)と呼ばれる、自動車メーカーに直接部品を納入するサプライヤー企業です。

自動車需要台数の推移(日本自動車工業会)

2013年の四輪車総需要は5,376千台・前年比100.1%。
内訳は、登録車が3,263千台・前年比96.2%、軽四輪車が2,113千台・前年比106.7%となった。


電気/電子制御設計などエンジニアの求人も増加傾向

これまで、サプライヤーでは部品製造やメーカーからの受託開発が主体でしたが、このところはEVなどのエコカー関連技術などをはじめ、積極的に独自開発に 乗り出す動きが出ています。自動車業界では伝統的に「業界での経験がないエンジニアの採用を敬遠する」傾向がありましたが、高い技術を持ったエンジニアが 不足しているという状況を受け、2~3年前より確実に転職市場における間口が広がりつつあるのが現状です。

たとえば、ノートパソコン用の燃料電池を開発していたエンジニアが、まったく業界における経験がない若手であったにも関わらず、自動車用燃料電池の開発を目指すメーカーに採用されたという事例がありました。これは、以前では考えられなかったことといえるでしょう。

レーダーやカメラと連動した衝突被害軽減システムや運転支援システムなどをはじめ、自動車の設計にさまざまな先端技術が取り入れられたことで新たな要素技 術が加わり、これまで自動車業界とは関連がなかった分野におけるエンジニアも求められています。特にここ最近においては、サプライヤーによる電気/電子制 御設計技術者の求人が目立つようになりました。2020年前後より本格的なEVの普及がはじまるとの予測もあり、これらの設計開発に携わるエンジニアの ニーズが増すことは間違いありません。

電気自動車(EV)の販売予測
(野村総合研究所)

日本と米国、欧州、中国を対象に2020年までの電気自動車(EV)などの販売市場を予測したもの。電気自動車は2020 年までに47万台にまで伸びると予測。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も含めエコカー全体では、1100万台に拡大するとみ られる。


英語を含めたコミュニケーション能力も問われる

自動車業界への転職にあたり、技術的に高いスキルが要求されるのはもちろんですが、サプライヤーにおいても受託開発の案件が増えていることから、エンジニ アのコミュニケーションスキルが重視されています。たとえば、品質管理基準が異なる海外の受託先とやり取りし、決められた工程通りにプロジェクトを進める ためには、各種の調整能力が欠かせません。

またサプライヤーの多くが国内メーカーだけに限らず、新興国メーカーへの展開を意識していることから、いまや英語力が必須となっています。具体的には、採 用にあたりTOEICの点数で650~700点という基準を示す企業が多いようです。あくまで基盤となるのはエンジニアとしての力量なのですが、中途採用 にあたっては上記のような「プラスワン」の能力が評価の決め手となります。

なお、自動車業界の中途採用におけるボリュームゾーンは、20代後半から30代前半にかけてで、年収450~650万円といったところ。業界 での経験があれば、より高待遇でという案件も少なくありません。弊社の場合は外資系ということもあり、日本進出を目指す海外メーカーやサプライヤーより、 マネージャー職を求めるお声も頂いています。コアな要素技術のスペシャリストを目指すことができるだけでなく、これらマネジメント職へのキャリアパスが開 けていることも自動車業界の特色といえるでしょう。